No.11 特集「ボランティア・市民活動」
戸田市ボランティア・市民活動支援センター オープン!!

  7月1日(土)戸田市ボランティア・市民活動支援センターがいよいよオープン。これは神保国男市長が掲げる市民とのパートナーシップ政策のひとつの達成でもあり、戸田市にとっての「市民活動元年」ともいえるスタートでもある。 このセンターは戸田市が建設し、運営は市と社会福祉協議会、そして、市民という三者の協働というスタイルをとる。建設に至る構想も市民委員会の中で、三者の議論を積み重ねる形で練られてきた。

  オープニングを記念する式典は、1日の土曜日午前10時から神保市長をはじめ、運営する市、社会福祉協議会、市民の代表、そして、関係来賓者と市民団体の100人近い関係者が集まって行なわれた。式典の後はセンターの見学会、夜には関係者の交流会・懇親会が行なわれた。


テープカットのオープニングセレモニー


挨拶する神保国男市長


紹介される市民活動推進委員会の皆さん

  このセンターは、平成15年3月の「戸田市市民活動推進基本方針」に基づいて、特に「市民・市民活動団体・市が協働で促進する重点施策」の一番の目玉である「活動拠点の整備」として建設が目標とされてきた。ちなみに、重点施策の4項目は 「活動拠点整備」「情報ネットワーク」「市民活動の活発化」「協働体制の確立」となっている。まずはセンターという「活動拠点整備」とこのサイトに見られる「情報ネットワークづくり」、 今回これらがとりあえず目標を達成したことになる。次に「市民活動の活発化」 。これには既に「地域通貨・戸田オール」や「エコライフDAYとだ」などの支援があげられるが、今後の税制や市民活動団体への助成金制度など、さらなる具体化が期待される。そして、4 つ目が、従来の行政職員だけや市会議員、町会など自治会関係者にとどまらずに、広く「市民参画」を進める懇話会や市民委員会、ワークショップなど「協働をすすめる体制の確立」であり、 今回の拠点整備は今後のモデルになるはずである。それは、例えば、7月14日に予定されている北川元三重県知事を迎えて発足が計画されている「埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク」などが主張する「市民がつくるマニュフェスト」にまで発展する、市民による民主主義の醸成へと広がる可能性を持っている。 これからの公共施設の建設や運営にまで影響を与えていくのかも知れない。

事実上の所長かな?

社会福祉協議会の青塚さん

サイト運営事務局の内野さん
 

センターにはボランティアスタッフも大勢います。ITボランティアも多いので安心して質問してください。


センター正面の受付カウンター

 その意味で、このセンターは単なる行政の市民活動支援の拠点にとどまらずに、市民の情報ネットワークの要であり、市民活動を活発化させる舞台であり、さらに、協働をすすめる体制確立の実験場とも期待できる。縦割りの弊害が指摘される行政主導の市民活動支援の限界を、市と社会福祉協議会と市民活動団体のコラボレーション(協働)が破れるのか、神保市長から投げかけられた課題に、どう市民や市民活動団体が応えられるかの、いい実例となるだろう。その意味でも、今後の活動や運営が注目されることは間違いない。もちろん、私たち市民自身も期待と同時にどう参画するか、大いに勉強したいものだ。従来の公民館や町内会館、社協のボランティアセンターとどう違うのか、単なる箱物でない、その存在自体に注目しよう。市民にとって協働で運営することで、ノウハウを蓄積できる。 いかにたくさんの市民を巻き込めるか、実務的に市民活動団体を支援できるのか。センターも情報も、活性化案も、最終的には21世紀の市民コミュニティをどう作っていけるのか、つまり、行政や政治家と市民のコミュニケーションをどうしていくか、そのことで協働事業を推進させていくことが重要なのだと思う。今回のセンターのオープンはその始まりに過ぎない。


パソコンコーナーには3台のノートパソコン常設
その他、持ち込めば有線、無線LANが完備


プリンター、コピー、印刷機はもちろん、裁断機や折り機もある

 この構想はおよそ3年以上を費やし、行政マンと市民活動家との話し合いの中で練られてきた。また、センター構想以前に市民活動支援サイトが早々と検討されてきた経緯がある。それは拠点作りも含めて「地域社会の情報化」という問題意識 であった。このサイトのCMS(コンテンツマネージメントシステム)に関しても、様々な検討がなされてきた。しかし、時代のスピード、技術革新の方が速いというのが実感である。私自身、この間、Eジャパン協議会eコミュニティ推進委員会という組織に所属し、「コメット」というCMSの開発にも委員として関わって来た。その活動は『eコミュニティが変える日本の未来―地域活性化とNPO』(NTT出版)にまとめられているが、その 「発刊に寄せて」の中で国際大学の公文俊平先生は、地域情報の担い手が、学者や行政マンでなく「地域に根ざしたコミュニティ活動を実際に行なっている人たち」であることが明らかになってきた、と言う。そして、「情報化社会は人々の知力の急激な増進としてまず現れ、ライフスタイルや社会の仕組みの変化に及んでいきます。産業社会の“市民”は、情報化社会の“智民”に生まれ変わって成長し発展していくのです。」と指摘する。現代では企業のイノベーションが先行し、おそらく次に第3のセクターである市民活動が成長するのだろう。一番、改革が遅れるのが第1のセクターである行政、政府、公官庁的な組織なのはやむを得ないかも知れない。しかし、重要なのはスピードである。

 eコミュニティ推進委員会の委員長でもあった三木哲也電気通信大学教授は、地域情報化の3つのアプローチとして、「コミュニティ活動の情報化」と「自治体行政の情報化」に並んで「新たなネットワーク連携活動」を挙げている。「特に、三つ目の“新たなネットワーク型連携活動”は、住民と行政の連携が必要ないわゆる“まちづくり”、あるいは地域の産業、商店と住民の連携の必要なコミュニティの“まちづくり”などを成功させるうえできわめて重要なアプローチになる」と言う。その点に関しては戸田市の一連の動きは間違いない。バーチャルな市民活動支援サイトが、今回、リアルな「ボランティア・市民活動支援センター」と車でいうところの両輪として、あるいは「市」と「市民」というそれぞれの機能や仕組みに相互に影響を与えつつ、自己変革させていくのではないかと期待する。実際、市役所にパートタイムの市民が増えると、市職員のスキルアップや緊張感に影響し、対応や組織のあり方そのものを変えていくことを実感していると、ある市会議員が話していた。反対に、議員でもなく普段話もしたことのない職員と市役所の会議室で議論する市民の意識も大きく変化している。確実に新しい“コミュニティ”が成長している。それは従来の「市」対「市民」といった二項対立的な敵対的関係の感情でなく、お互いが“まちづくり”への課題を共有する仲間意識が醸成されるプロセスとなっている。まさに市長の言う“パートナーシップ”が生まれているのだと思う。


交流コーナーや託児施設もある


会議スペース(自由に借りられます)


トイレも授乳室も充実、障害者用トイレもあります

 同時にこうした過程は、このセンターがサスティナブルな(継続性をもって)新たなコミュニティを形成していけるかどうか、いくつかの課題があることも見させてくれるだろう。 今回は役所内のコミュニティ推進課と福祉課が密接に協力し合った点は評価できるが、この上に、経済振興課や市民課、環境クリーン室など各課の連携が取れるのだろうか。また予算関係から、 今の行政の枠組みでは身動きが出来ない、非効率、ムダ・ムリ・ムラが解消できない、市民感覚のない経費が白日の下にさらされるに違いない。そして、せっかくの人材が、誰の意図かもわからず配置転換されてしまうのが役所である。コミュニティ推進やまちづくりのプロが育たない。つまり、役所の中の役所である、管財・会計と人事課からの独立が、市民との「協働」事業化の中では一番のポイントになる。市役所の中にパートタイムやボランティア、定期期限付き職員の採用など、市民感覚を取り込む仕組みや、反対に市民活動団体、NPOに市職員を出向させるなどの人事交流、センター長やボランティア、NPO担当のプロの職員の養成。センターそのものを民間の指定管理者制度へ移行するなど、今後の課題は多い。今回の設計にしても、職員の設計士が担当したというが、広くボランティアやNPOの建築プロの英知を結集させればもっと違った施設が建てられたのではないだろうか。

 市民の側にも課題はあるだろう。議会や議員との関係はどうなるのがいいのか。市民委員会にどのくらい実際の市民団体や市民活動家が参画しているか。名誉職のような懇話会や委員会では、本当の市民や団体の必要性が汲み取られることは少ない。議員と同じように視察旅行するレベルでは時間のムダになる。まだまだ現実には情報収集能力が欠けている気がするのは私だけではないと思う。 既存の組織の徹底的な構造改革と、パートナーシップが作る「新しい公共」へ向けて、行政側も市民側も本気で意識改革を行なう必要はまだ多いにある。最終的には人材の育成が鍵になる のだ。 それは私たち自身がどう“市民=智民”としてレベルアップできるかでもある。


オープニングでは戸田交響楽団の演奏も行なわれた


見学会では、交流スペースで話の花が咲いた

 さて、とにもかくにも「戸田市ボランティア・市民活動支援センター」がオープンした。ここが戸田市の市民活動支援の中心になるのか、行政マンもこのセンター運営にかかわる市民も、「市民活動」「支援」が何であるかを考えながら走り出さなければならない。細かな運営上の問題点も多く出るだろう。しかし、それらを相互理解の上に立って克服する過程こそコミュニティの醸成なのだということを信じて、支援組織として成長することを願う。戸田市の市民活動のメッカになることを期待して。

(文責Y)

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