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まちづくり市民コンサルタント
はじめに
今回の特集はいわゆるボランティア、市民活動家を紹介し、同時に考えるきっかけを作りたいと思った。そこで2年前に実施したセミナーを紹介。この講座に集まった市民活動家を取り上げてみる。まず「市民活動家」といった言葉にするとひと昔前の「反体制」「党派」「活動家、運動家、思想家」といった連想に陥りがちだが、今日の「市民活動家」はもっと普通の感覚、「ボランティア」や「市民」という言葉とそれほど代わりないだろう。では「ボランティア」とは何か、「市民活動」とは何かと問われるかも知れないが、今回はそこのところはひとまず置いといて、とりあえず市民活動に積極的、主体的に取り組み、団体のリーダーとして活躍している人といった意味での具体的な人物を紹介しみよう。まだまだ一部しか取り上げられないし、もっと頑張っている人はたくさんいる、と反論されてしまうかも知れないが、紙面の都合や情報能力の低さなどご勘弁いただき、今回のテーマでの切り口とご解釈ください。
ボランティア・市民活動を支援するネットワークの重要性
住民として、市民として日常的に感じる様々な疑問や課題を、今までは何でもお役所頼みだった、あるいはすぐに「市民」対「役所」のような二項対立で提起していた時代があったが、最近では自分達のことは自分達で解決しよう、「ご近所の底力」から新しいコミュニティを創ろうという自助努力、相互扶助のような動きになっている。商人や企業家も、昔のまちの旦那衆や自普請のような地域貢献を考え始めている。埼玉が生んだ実業家渋沢栄一のように、右手に算盤、左手に論語という経営者が、社会的企業とか社会事業にも関心を示してきている。
また、現代のボランティアや市民活動が、自治体、行政といった第1のセクターと民間企業という第2のセクターでない、第3のセクターとして、「新しい公共」を担う力となってきたこと。そのために組織化され、法人格や持続的、継続的な事業化が求められてきたこと。だから特定非営利活動法人、いわゆるNPO法などで制度化されてきていることなどは既にご理解いただいているだろう。慶応大学の金子郁容教授の「ボランティア―もうひとつの情報社会―」(岩波新書)で指摘されているように、血縁や地縁が薄れ、職場を中心とする縁、会社中心人間が、バブルの崩壊や社会の流動化、2007年問題で、大量に地域に戻ってくる。彼らは地域社会に救いを求めていると同時に、社会を変えていく動きになるのかも知れない。この著書は「ボランティア」という関係性の観点から現代の「情報社会」を捉える手がかりを教えてくれている。詳しくはいつか別の機会に譲るとして、この中でネットワーク型コミュニティ、例えばソーシャル・ネットワークやブログのように、原則はインターネットは無料であるといった従来の経済原則にあてはまらない原理が、現代の情報社会の基本にあること。知っている事を財産にするような知識資本主義とする静的情報に対して、日々出会いによって形成される動的情報がネットワーク型情報であることを示している。つまり、与えるものと受け取る者が常に入れ替わり、インタラクティブ(相互関係的)で動的な情報は、動き回り、出会いという「活動」の中でしか成長しない。結局、ネットワークはネットワーカーのつながりでしかない。そして、情報化社会は原則的にボランティア優先であり、また現実的なボランティア活動もネットワークによって組織化されてきていることを教えてくれる。さらに、だからこそ企業の社会的貢献やボランティア・サポート・ネットワークの重要性を認識すべきなのだろう。この点もいつか詳しく考えることが出来ればと思う。
さて、そうしたサポート・ネットワーカーの重要性を認識し、組織化と育成を考える取り組みが、この支援センター開設の基本的なコンセプトであったと思う。平成16年度関東経済産業局(経済産業省)の公募した「市民活動活性化モデル事業(市民ベンチャー事業=中間支援機能強化事業)に、戸田市SOHOデジタル事業協同組合がエントリーされたことで、連続の「まちづくり市民コンサルタント育成講座」が企画された。今回はその内容と受講者、修了者の一部を紹介しよう。
まちづくり市民コンサルタント養成講座
この講座は6回のセミナーを受講することで「つなぎ」役になれる人物を養成する目的だった。
◆第1回は、「自治体(市民)シンクタンクと新しい公共経営」と題して、いまなぜコミュニティビジネスが求められているのか?「地域分権」の時代に対応できる自治体や地方議会には何が必要か?というテーマで牧瀬 稔氏(法政大学地域研究センター研究員)と現役戸田市会議員の中島浩一氏を講師に、行政を含めて情報化社会のスピードに対応できない組織が、自己改革(イノベーション)の中から覚醒できるか。気がついた個人は、それぞれの現場で、自らが課題解決に臨み始めている。遅れている法制度の改革は、国や県がやらなければ地方議員が自らで条例を制定できなければならない。そのため「まちづくり市民コンサルタント」としての政治家、市会議員を取り上げ、その政策提言能力の向上のためのブレーンや市民シンクタンクの重要性を考えた。(写真はITに強い中島議員)
◆第2回は、「コミュニティビジネス入門」ということで「コミュニティビジネス」とは、市民が主体となって地域の課題をビジネスの手法を使って解決しようというもの、あるいは市民活動による地域事業によって、コミュニティの再生と地域経済の活性化を同時に行なう「まちづくり」の手法。そのために地域の資源(人材・技術・施設・資金など)を見直し、再生・活用する協働作業が求められる。 地域課題を発見する、ビジネスモデルを作る、地域に共感や信頼のネットワークを作る、そうした市民一人ひとりの役割と、暮らしやすい街にしようという共通の「志=合意」などによって、ひとつの事業として起業される活動を考えた。講座では、そのためのノウハウやケーススタディによる人材育成を目標にした。講師に中小企業診断士・税理士 外山忠男氏と事例報告として現在蕨で開業している島田 妙美氏(子育てネットワーク、Naka-Yoshi代表)にお願いした。
◆第3回目は「NPO法人入門」を題に非営利セクターの起業を考えるとしてアメリカから帰国したばっかりの大川新人氏(多摩大学総合研究所コミュニティビジネス研究センター客員主任研究員)によるNPOの入門セミナーを開いた。ボランティア団体や中高年、女性の方などでコミュニティビジネス起業を考える場合、まず浮かぶのがNPO(特定非営利活動法人)だろう。今ではブームのようなところもあるが、その設立という具体的なノウハウはもちろん、NPOの歴史や現状、課題などを含めて、非営利セクターで起業する意味を学習した。
◆第4回目は「社会的企業と社会起業家」ということで、聞きなれない方も多いテーマで「営利セクター・企業の社会貢献を考える」セミナーを服部篤子氏(CAC-社会起業家研究ネットワーク/跡見学園女子大学・お茶の水女子大学・明治学院大学兼任講師)にお願いした。地域には今、治安、教育、子どもや高齢者のケアなど緊要な問題が山積で、社会起業家は、地域の課題に積極的に関わり、地域社会の再構築を目指し、住民、行政、企業を巻き込んだ新たなネットワークを構築して解決しようとしている。日本にはなじみが薄い「社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)」を含めて、前回の非営利セクターNPOの事業性に対して、企業という営利セクターの社会性からのコミュニティビジネスを考えた。地域の課題を発見した人々、解決策にアイデアを持っている人々は、そのアイデアを実現させるためには、どうすればいいのだろうか。企業の社会的責任論(SCR)もいまや常識。コミュニティビジネスを担う組織は、有限や株式会社でも組合や公益法人でもかまわない。市役所の中にも社会起業家を育てよう、という面白いテーマだった。
◆第5回は「コミュニティビジネスのマネジメント」と題し、NPOの課題と継続的な地域経営を考える講座だ。昼間は大企業のビジネスマンという二束の草鞋を履いている浅尾貴之氏(NPO法人まちづくり情報センターかながわアリスセンター理事/サスティナブルコミュニティ研究所理事)に講師を引き受けてもらった。地域や社会の問題解決に事業活動を通じて取り組む市民活動を「サスティナブルな社会の実現を担う“ソーシャル・ビジネス”」と位置づけ、コミュニティビジネスの事業運営(マネジメント)が陥りがちな問題点を指摘して、そのコンサルティングにあたって注意すべき点をレクチャーしてもらった。また、「私たちは、“気づき”からサスティナブルな“自立”を促すことを目指します。ですから、コンセプト作りで終わったり、即効性のあるイベントに走ったりはしません。まちづくりの段階に応じて、緩やかな支援から参加型での二人三脚の支援まで、提供していきます。」というNPOサスティナブルコミュニティ研究所の活動を紹介してもらうことが出来た。
◆第6回の最後は「市民コンサルタント入門」と題してテーマをコミュニティビジネスを成功させる、ファシリテーション・コンサルティングを考える内容。「まちづくり市民コンサルタント養成講座」の最終回ということもあって、今までの講座に参加、コーディネーターとして協力していただいた、参画ネットの代表取締役であり、中央大学大学院の博士課程在籍で自ら社会起業家を研究する岡本氏を囲んで、今までの成果を検証し、これからの展望を話し合った。
この講座の修了生は、名刺に経産省認可の「まちづくり市民コンサルタント」と記載して中間支援機能を担ってもらうこともでき、この講座で開発したプログラムも継続して養成事業を行なえるのだが、参加者の控えめさで、そうした実効性を持たせた活動として引き継いでいない点は少し惜しい気もするが、ランダムにこの講座参加者の現在までの活動を紹介しておこう。もちろん、例えばこのボランティア・市民活動支援センターの顔でもある社会福祉協議会の青塚さんやエコとだの森さんといった、単体での受講者を数えればもっと多くの活動家を紹介しなければならないが、今回は修了者を中心に紹介する。
まず、現在、戸田市の市民活動推進委員会委員長でもある高橋さん。高橋さんは本業も分野は違うがコンサルタントであり、行政と市民活動の基本方針についてその本領を発揮している。こうした「まちづくり」のプロに属すると言えば、NPO法人まち研究工房代表の金田さん、一時その手伝いをしていた菅野さん、鈴木さん。菅野さんは現在も市のマスタープランやまちづくり懇話会などの委員としても活躍している。NPO法人の代表理事としては、現在、市民活動支援サイトの管理運営を受託している戸田市ITボランティアの会の本郷さん。この会からは会員の女性たちも受講した。自らも障害者でありながら、ITの勉強や介護のボランティアに励んでいる福祉防災ネットワークを立ち上げた清水さん。BDF
(バイオマス燃料)や戸田舞祭り実行委員会で活動している西塔さん。民間主導で公共施設を作るというPFI研究会の海沼さん。地域通貨運営委員長の中島さん。ボランティアセミナリOB会をまとめ、エコライフDAY実行委員会や大江戸ダンスなどで子どもたちとも多方面で活躍している地球温暖化防止ネットワークの川谷さん。そして、最近、高齢者の健康と生きがい作りの会を立ち上げて、友好姉妹都市の福島県大信との地域間交流に燃えている、と
最近の戸田市のボランティア・市民活動を背負って立っている方々ばかりだ。
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清水さん |
西塔さん |
海沼さん |
中島さん |
川谷さん |
水内さん |
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面白いことに修了者のほとんどが生まれからの戸田の住人ではないことだ。従来のボランティア、町会や自治会の役員が土着的な旧住民がほとんどだったような気がするが、現在、まちづくりを担う人々の中心がこうした新しい住民、市民に増えていることは、新住民を取り込んで新しいまちづくりを進める上で頼もしいことではないだろうか。居住歴が20年以下の旧でも新でもない住民や企業市民といった既得権や全く歴史を知らないといったメリットもデメリットもない市民が、それらのハブ(接点)機能として、より市民活動を強化できれば、地域の特性を生かした地域再投資を考えたコミュニティ・ビジネスを展開することも可能だろう。
彼らが「まちづくり市民コンサルタント」としてこれからの各市民活動団体をサポートするネットワークをどう作っていけるか。戸田市の市民活動のゆくえを占う「市民活動家」養成のリーダーになっていくことを念じている。そして、市民活動で楽しくなるまちづくりが出来るようになることを願っている。
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