戸田市ボランティア・市民活動支援センターホームページ TOMATONPOについて市民活動に関する基本認識

市民活動に関する基本認識

1.策定の趣旨

21世紀を迎えた今日、私たちを取り巻く社会情勢は、少子・高齢化、情報化、国際化の進展などにより大きく変化しています。

また、ライフスタイルの変化に伴い、市民の価値観が多様化しており、公益的サービスに対する市民の要望も多様になってきています。

これまで公益的サービスは、主に行政が提供してきましたが、これからは自由で柔軟な発想を持つ市民の力に大きな期待が寄せられています。

このような中、ボランティア活動や市民活動を行う団体では、国内・国外を問わずより積極的に自らの手で地域の問題を解決しようとする動きが生まれ、市民の満足を引き出すため、様々なサービスを提供する団体が増えてきました。

そして、平成10年3月の特定非営利活動促進法(NPO法)の成立をきっかけにして、これまで法的資格をもたなかった市民活動団体が、活動しやすく、活動の幅を広げることとなり、市民活動の重要性がより多くの人に認識されるようになりました。

こうした経緯をふまえて、戸田市では第3次総合振興計画(基本構想・前期基本計画)において、市民の自主的、主体的な活動への支援を提唱しています。この振興計画に基づき、パートナーシップを基本として市民・企業・行政が、多様な市民のニーズへ柔軟に対応し、市民が希望する公益的サービスを選択できるような社会を共に目指すため、市民と行政との協働作業による「市民活動推進基本方針」が生まれました。

この基本方針が、戸田市の市民活動の促進を図り、新世紀にふさわしい市民主体の社会づくりに向けた、道しるべになることを期待しています。

2.市民活動の概念

(1)市民活動の概念
「市民活動」とは、「不特定かつ多数のものの利益の増進を目的とし、市民が主体となって社会的な課題の解決に取り組む、営利を目的としない活動」をいいます。
なお、市民活動推進基本方針では、次のように市民活動団体の概念を整理し、対象となる範囲を限定して活動を促進していきます。

(2)市民活動団体の概念
市民活動団体とは、社会的課題に対して自らが社会的使命を持って、継続的に活動する組織体です。そして、次の三つを主な要素としています。

ア.民間性 市民ならではの自由で柔軟な発想を生かしている。

イ.非営利性 市民の直接の利益を考え、その使命の実現を目指している。 (収益をあげても構成員で分配せず、使命の実現に向ける。)

ウ.組織性 効率的な運営を図り、活動に広がりや深まりをもたせている。

市民活動団体は、行政(第1セクター)や企業(第2セクター)でない市民の(第3の)セクターとして位置づけされています。 市民活動団体の概念を整理すると、次のように三つの層としてとらえること ができます。(市民活動団体等の概念図参照

  • (1) 社団法人や財団法人などの公益法人、任意の市民活動団体やボランティア団体、特定非営利活動法人(NPO法人)、農協、生協、労働組合、町会・自治会、子ども会など、非営利組織全体を指す概念。
  • (2) (1)のうち任意の市民活動団体やボランティア団体及びNPO法人に範囲を限定して指す概念。
  • (3) (2)のうち特にNPO法人のみを指す概念。戸田市では、上記概念のうち、(2)及び(3)にある任意の市民活動団体やボランティア団体、NPO法人を対象とし、市民・企業・行政で役割分担しながら市民活動の基盤整備を進めていきます。ただし、宗教活動や政治活動を主たる目的とするものは、対象から除きます。

※NPOとは、英語の「Non Profit Organization」(ノン・プロフィット・オーガニゼーション)の頭文字をとった略語です。日本では「民間非営利組織」の総称として使われています。

3.市民活動の意義と役割

(1)市民活動の意義
今まで社会へのサービスを提供してきたのは、行政である第1セクターと企業である第2セクターが中心でした。
ところが、時代の変化とともに、社会的課題が多様化・複雑化してきたことにより、市民の求めるサービスが多様化し、その2つのセクターでは対応しきれない状況が生まれました。そこで、新たなサービスの担い手として市民セクターである市民活動団体が注目されています。
市民活動団体は、社会的使命を持って、自主的、自発的な意思に基づき社会貢献活動を行っており、その範囲は福祉、教育、環境、文化・芸術、まちづくりなど様々な分野に及んでいます。
市民活動には、多様性・個別性・柔軟性などの特性があります。それらの特性を生かし、行政や企業とは異なる価値観に立って、縦割り社会を横糸で結ぶ組織づくり(ネットワーキング)や提案活動を行うなど、重要な役割を担うセクターとして期待されています。
また、市民活動はその効果を高めるために、企業や行政に働きかけながら、様々な社会的課題を自発的に解決していくことが期待されています。

(2)市民活動の役割
市民活動団体とは、社会的課題に対して自らが社会的使命を持って、継続的に活動する組織体です。そして、次の三つを主な要素としています。

公益的サービスの提供
市民活動団体の中には、積極的に社会的課題を解決しようとする動きがあり、市民自ら公益的サービスを提供する活動を行う団体が増えています。
市民活動団体が、行政や企業とは異なった視点から市民のニーズをとらえ活動することで、市民の満足が得られる多様なサービスを生み出していくことができます。

自己実現の機会の提供
市民活動は、個人が社会に貢献したいという意思を生かし、参加する機会を 提供します。参加する市民は、活動を通して職場や家庭とは異なった満足感を得ることができ、生きがいを感じ、自己実現を果たすことができます。

よりよい社会をつくるための提案
直接サービスに関わる市民の視点から、地域の中で感じ得たことを形に表し、市民ならではの先駆的な取り組みや自由な発想で活動することにより、社会全に新鮮な刺激や新しい流れをもたらします。
市民活動団体は、提案活動等を行うことにより、社会を変革していく可能性を持っています。

新しい雇用機会の提供
市民活動団体は、公益的サービスの提供者として、新たな事業を展開し、市民の活動の場や雇用の場を広げる可能性があります。

コミュニティの再生
市民活動団体が、自らの責任と価値観に基づき、主体となって行動するこ とで、よりよいコミュニティづくりができます。
また、地域に根ざした市民活動は、市民自らが仲間を増やし、多種多様な分野に関わる人々とのネットワークを構築していく活動でもあります。
こうした活動は、地域の住民が助け合うシステムを新たに醸成し、人間関係が希薄になったコミュニティの再生を促す重要な動機づけになります。

4.市民活動の現状と課題

(1)戸田市の現状
 時代の推移とともに様々な社会的課題に対し、市民が何らかの貢献をしたいという意識が高まってきています。こうした意識の変化により、市民が主体となった社会貢献活動を行う市民活動への理解と関心が強まっています。

平成11年度に市が行った「戸田市男女共同参画に関する市民意識調査」の結果によると、「今後参加したい社会活動分野」として、「趣味・教養・スポーツ等のサークル活動」に次いで「福祉・ボランティア活動」「国際交流・協力活動」「町会や子ども会活動」等があげられており、市民の様々な活動に対する関心の高さがうかがえます。また、「今まで参加しなかった理由」として「活動に関する情報が少ない」「参加するきっかけがない」といった回答が多く、情報や機会があれば参加したいという意識が感じられます。

このような市民意識をふまえ、今後市民活動を活発化し、充実させていく必 要があります。
なお、今まで行政からの支援は、ある程度その活動内容が安定し成果が見込めるようなものに限られ、先駆的なものや機動性が必要なものについては、支援しにくい面を持っていたように感じます。その上、支援が分野別になっており、分野を越えた幅広い活動に対する支援が困難なことが現状にあると思われます。

(2)市民活動の課題
様々な分野における市民活動が幅広く展開される中で、市民活動の抱える課題として、情報の収集提供をはじめ、人材・資金・活動拠点の確保などがあります。それらの課題を解決し、市民活動が活発に、かつ継続的に発展していくためには、活動のための基盤の整備が必要です。また、市民活動団体・企業・行政のパートナーシップによるまちづくりを進めるためには、市民の自発性を尊重しながら、企業や行政と連携・協力していく仕組みが必要です。

そして、市民活動団体が、幅広く市民の理解を得て、自立し発展していく上で、自ら活動の目的や意義、役割などを社会に向けて積極的に伝えていくことも大切であり、情報ネットワークづくりが重要となります。

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